リミテバベルのススメ②「リミテバベルの勝率」
2012年7月12日 リミテッド コメント (2)リミテッドのアーキタイプが確立するために必要なの要素のひとつは、やはり「どのくらい勝てるか」でしょうか。
というわけで今回はリミテバベルの勝率についてです。熱心なバベラーの方には既知の考察になると思いますが…。
ちなみに今回は数学の話なので、右手に自身のある方はスルー推奨です。
~リミテバベルのススメ②~
「リミテバベルの勝率」
カードゲームの勝率を求めるのは非常に困難です。
なので、今回は幾つかの条件を元に、バベルデッキの勝率を求めてみます。
●条件1 : 5ターン目に《機知の戦い》をプレイすることを目指す。
リミテッドで無抵抗の相手に何ターンで勝てるでしょうか?
詳しい議論は省略するとして、だいたい6~7ターン程度と仮定します。
その場合、6ターン目のアップキープに勝っている必要があるので、5ターン目に《機知の戦い》をプレイしなければなりません。
●条件2 : デッキ枚数は212枚とする。
条件1より、6ターン目アップキープにライブラリーが200枚あればいいので、後攻で初手7枚+5枚ドローを加えた212枚が必要最小限の枚数となります。後で計算しますが、条件1を満たすには最も確率の高い枚数です。
(ちなみに最速型は211枚です。この最速型は、先攻で条件1を満たす確率が最も高いです。しかし、後攻になるとライブラリー枚数が足りなくなるのでマリガンが必須となり、勝率は大幅に低下します。リミテッドは先攻を取れる確率がやや高いですが、平均すると212枚が最適です)
●条件3 : 《機知の戦い》1枚、《島》211枚でデッキを構築する。
他のカードを入れると5マナに届かないことがあるので、《機知の戦い》で勝つにはこの構成が一番強いです。
(ちなみに《機知の戦い》の枚数が増えると勝率もグッと上がります)
●条件4 : マリガンは積極的に。
なるべく初手で《機知の戦い》を引くために先攻なら5回、後攻なら6回までマリガンをします。
(先攻は1ターン目のドローがないので条件1を満たすために0ターン目に2枚以上の手札が必要です)
●条件5 : 《機知の戦い》に対する相手の妨害は無いものとする。
純粋な勝率を計算するための措置です。妨害されることは殆ど無いと思いますが。
妨害カードについてはパート⑤辺りで考察予定です。
以上の条件を総括して
《機知の戦い》1枚、《島》211枚の212枚デッキで、マリガンしてでも5ターン目までに《機知の戦い》1枚、《島》5枚以上を揃える。
この確率を求めてみます。
今回は組み合わせ数 C(n, m) を使います。定義は↓
異なる n 個のものから異なる m 個のものを選ぶ組合せというのを考えると、その選び方の総数は
C(n, m) = n * (n - 1) * … * (n - m + 1) / m / (m - 1) / … / 1
■「初手7枚」
初手7枚の中に《機知の戦い》がある確率は
1 - C(212 - 1, 7) / C(212, 7) = 1 - C(211, 7) / C(212, 7) = 1 - 205/212 = 1 - 0.966981132 = 0.033018868 ≒ 3.30%
3.30%の確率で勝ちが確定しました。僅か1枚のカードでこれだけの勝率を得られるカードは他にないでしょうね。
■「マリガンして6枚」
残念ながら7枚の中に《機知の戦い》が無かった場合はマリガンしてチャンスを増やします。
マリガンして6枚の中に《機知の戦い》がある確率は
1 - C(211, 6) / C(212, 6) = 1 - 206/212 = 0.028301887 ≒ 2.83%
マリガンしなかった場合と合わせて
0.033018868 + (1 - 0.033018868) * 0.028301887 = 0.060386258 ≒ 6.04%
マリガン1回で勝率が倍近くに増えました。
■「ダブルマリガンして5枚」
運悪くマリガンしても《機知の戦い》が来なかった場合はもう一度マリガンしてチャンスを増やします。
ダブルマリガンして5枚の中に《機知の戦い》がある確率は
1 - 207/212 = 0.023584906 ≒ 2.36%
マリガンしなかった場合と合わせて
0.060386258 + (1 - 0.060386258) * 0.023584906 = 0.08254696 ≒ 8.25%
ちょっとノビが悪くなりましたが、12回に1回はここまでに勝利が確定します。
■「トリプルマリガンして4枚」
普通のデッキで3回もマリガンすると絶望を感じますが、バベルなら勝つチャンスは残っています。
トリプルマリガンして4枚の中に《機知の戦い》がある確率は
0.018867925 ≒ 1.89%
マリガンしなかった場合と合わせて
0.099857395 ≒ 9.99%
約10%。キリがいいですね。
■「クアドラプルマリガンして3枚」
ここまで22枚の《島》を見送ってきましたが、そろそろ格好良い魔術師に会いたいですね。
クアドラプルマリガンして3枚の中に《機知の戦い》がある確率は
0.014150943 ≒ 1.42%
マリガンしなかった場合と合わせて
0.112595262 ≒ 11.26%
ちょっと心配になってきました。
■「クインティプルマリガンして2枚」
先攻ならこれが最後のマリガン。
クアドラプルマリガンして2枚の中に《機知の戦い》がある確率は
0.009433962 ≒ 0.94%
マリガンしなかった場合と合わせて
0.120967004 ≒ 12.01%
後攻を選んだ人はもう一度だけマリガンできます。
そして、先攻を選んだ人の内12%が勝利を収めました。しかし残りの88%の人にもまだチャンスが4回も残っています。
■「先攻手札2枚からの2ターン目~5ターン目」
手札に2枚の《島》を抱えた先攻プレイヤーは1ターン目に《島》をセットして終了します。
そして、2ターン目、1回目のドローで《機知の戦い》を引く確率は…0.476%
3ターン目のドロー…0.478%
4ターン目のドロー…0.481%
5ターン目のドロー…0.483%
以上、先攻5ターン目に《機知の戦い》をプレイ出来る確率は
0.13771049 ≒ 13.77%
でした。13.77%の人、お疲れ様でした。
もし86.23%を選んでしまった人でももしかしたら11ターン目までチャンスがあるかもしれません。
11ターン目までに《機知の戦い》をプレイ出来る確率は
0.162825719 ≒ 16.28%
です。
■「セクスタプルマリガンして1枚」
6回連続で《島》の手札を眺めてきた後攻プレイヤーのラストマリガン。
セクスタプルマリガンして《機知の戦い》を引く確率は
0.004716981 ≒ 4.72%
マリガンしなかった場合と合わせて
0.125113387 ≒ 12.51%
では次へ行きましょう。
■「後攻手札1枚からの1ターン目~5ターン目」
1ターン目のドロー…0.474%
2ターン目のドロー…0.476%
3ターン目のドロー…0.478%
4ターン目のドロー…0.481%
5ターン目のドロー…0.483%
以上、後攻5ターン目に《機知の戦い》をプレイ出来る確率は
0.145845297 ≒ 14.58%
でした。
11ターン目まで粘ると
0.170723589 ≒ 17.07%
でした。
■「まとめ」
先攻の勝率 … 13.77 ~ 16.28%
後攻の勝率 … 14.58 ~ 17.07%
でした。
ちょっと低いように感じられますが、1枚のカードでこれだけの数字を出せるのは《機知の戦い》以外に数枚しか知りません。
また、今回は《機知の戦い》1枚での勝率を計算しましたが、M13にはバベルをサポートするカードが他に数枚登場します。
次回からは、いよいよ実践的なリミテバベルの考察に入ります。
次回 ~リミテバベルのススメ③~「インデックス」
「おまけ」
《機知の戦い》2枚の勝率 … 24.25 ~ 32.00%
《機知の戦い》3枚の勝率 … 33.49 ~ 43.13%
《機知の戦い》4枚の勝率 … 41.65 ~ 52.96%
《機知の戦い》5枚の勝率 … 48.84 ~ 61.14%
《機知の戦い》6枚の勝率 … 55.17 ~ 67.92%
というわけで今回はリミテバベルの勝率についてです。熱心なバベラーの方には既知の考察になると思いますが…。
ちなみに今回は数学の話なので、右手に自身のある方はスルー推奨です。
~リミテバベルのススメ②~
「リミテバベルの勝率」
カードゲームの勝率を求めるのは非常に困難です。
なので、今回は幾つかの条件を元に、バベルデッキの勝率を求めてみます。
●条件1 : 5ターン目に《機知の戦い》をプレイすることを目指す。
リミテッドで無抵抗の相手に何ターンで勝てるでしょうか?
詳しい議論は省略するとして、だいたい6~7ターン程度と仮定します。
その場合、6ターン目のアップキープに勝っている必要があるので、5ターン目に《機知の戦い》をプレイしなければなりません。
●条件2 : デッキ枚数は212枚とする。
条件1より、6ターン目アップキープにライブラリーが200枚あればいいので、後攻で初手7枚+5枚ドローを加えた212枚が必要最小限の枚数となります。後で計算しますが、条件1を満たすには最も確率の高い枚数です。
(ちなみに最速型は211枚です。この最速型は、先攻で条件1を満たす確率が最も高いです。しかし、後攻になるとライブラリー枚数が足りなくなるのでマリガンが必須となり、勝率は大幅に低下します。リミテッドは先攻を取れる確率がやや高いですが、平均すると212枚が最適です)
●条件3 : 《機知の戦い》1枚、《島》211枚でデッキを構築する。
他のカードを入れると5マナに届かないことがあるので、《機知の戦い》で勝つにはこの構成が一番強いです。
(ちなみに《機知の戦い》の枚数が増えると勝率もグッと上がります)
●条件4 : マリガンは積極的に。
なるべく初手で《機知の戦い》を引くために先攻なら5回、後攻なら6回までマリガンをします。
(先攻は1ターン目のドローがないので条件1を満たすために0ターン目に2枚以上の手札が必要です)
●条件5 : 《機知の戦い》に対する相手の妨害は無いものとする。
純粋な勝率を計算するための措置です。妨害されることは殆ど無いと思いますが。
妨害カードについてはパート⑤辺りで考察予定です。
以上の条件を総括して
《機知の戦い》1枚、《島》211枚の212枚デッキで、マリガンしてでも5ターン目までに《機知の戦い》1枚、《島》5枚以上を揃える。
この確率を求めてみます。
今回は組み合わせ数 C(n, m) を使います。定義は↓
異なる n 個のものから異なる m 個のものを選ぶ組合せというのを考えると、その選び方の総数は
C(n, m) = n * (n - 1) * … * (n - m + 1) / m / (m - 1) / … / 1
■「初手7枚」
初手7枚の中に《機知の戦い》がある確率は
1 - C(212 - 1, 7) / C(212, 7) = 1 - C(211, 7) / C(212, 7) = 1 - 205/212 = 1 - 0.966981132 = 0.033018868 ≒ 3.30%
3.30%の確率で勝ちが確定しました。僅か1枚のカードでこれだけの勝率を得られるカードは他にないでしょうね。
■「マリガンして6枚」
残念ながら7枚の中に《機知の戦い》が無かった場合はマリガンしてチャンスを増やします。
マリガンして6枚の中に《機知の戦い》がある確率は
1 - C(211, 6) / C(212, 6) = 1 - 206/212 = 0.028301887 ≒ 2.83%
マリガンしなかった場合と合わせて
0.033018868 + (1 - 0.033018868) * 0.028301887 = 0.060386258 ≒ 6.04%
マリガン1回で勝率が倍近くに増えました。
■「ダブルマリガンして5枚」
運悪くマリガンしても《機知の戦い》が来なかった場合はもう一度マリガンしてチャンスを増やします。
ダブルマリガンして5枚の中に《機知の戦い》がある確率は
1 - 207/212 = 0.023584906 ≒ 2.36%
マリガンしなかった場合と合わせて
0.060386258 + (1 - 0.060386258) * 0.023584906 = 0.08254696 ≒ 8.25%
ちょっとノビが悪くなりましたが、12回に1回はここまでに勝利が確定します。
■「トリプルマリガンして4枚」
普通のデッキで3回もマリガンすると絶望を感じますが、バベルなら勝つチャンスは残っています。
トリプルマリガンして4枚の中に《機知の戦い》がある確率は
0.018867925 ≒ 1.89%
マリガンしなかった場合と合わせて
0.099857395 ≒ 9.99%
約10%。キリがいいですね。
■「クアドラプルマリガンして3枚」
ここまで22枚の《島》を見送ってきましたが、そろそろ格好良い魔術師に会いたいですね。
クアドラプルマリガンして3枚の中に《機知の戦い》がある確率は
0.014150943 ≒ 1.42%
マリガンしなかった場合と合わせて
0.112595262 ≒ 11.26%
ちょっと心配になってきました。
■「クインティプルマリガンして2枚」
先攻ならこれが最後のマリガン。
クアドラプルマリガンして2枚の中に《機知の戦い》がある確率は
0.009433962 ≒ 0.94%
マリガンしなかった場合と合わせて
0.120967004 ≒ 12.01%
後攻を選んだ人はもう一度だけマリガンできます。
そして、先攻を選んだ人の内12%が勝利を収めました。しかし残りの88%の人にもまだチャンスが4回も残っています。
■「先攻手札2枚からの2ターン目~5ターン目」
手札に2枚の《島》を抱えた先攻プレイヤーは1ターン目に《島》をセットして終了します。
そして、2ターン目、1回目のドローで《機知の戦い》を引く確率は…0.476%
3ターン目のドロー…0.478%
4ターン目のドロー…0.481%
5ターン目のドロー…0.483%
以上、先攻5ターン目に《機知の戦い》をプレイ出来る確率は
0.13771049 ≒ 13.77%
でした。13.77%の人、お疲れ様でした。
もし86.23%を選んでしまった人でももしかしたら11ターン目までチャンスがあるかもしれません。
11ターン目までに《機知の戦い》をプレイ出来る確率は
0.162825719 ≒ 16.28%
です。
■「セクスタプルマリガンして1枚」
6回連続で《島》の手札を眺めてきた後攻プレイヤーのラストマリガン。
セクスタプルマリガンして《機知の戦い》を引く確率は
0.004716981 ≒ 4.72%
マリガンしなかった場合と合わせて
0.125113387 ≒ 12.51%
では次へ行きましょう。
■「後攻手札1枚からの1ターン目~5ターン目」
1ターン目のドロー…0.474%
2ターン目のドロー…0.476%
3ターン目のドロー…0.478%
4ターン目のドロー…0.481%
5ターン目のドロー…0.483%
以上、後攻5ターン目に《機知の戦い》をプレイ出来る確率は
0.145845297 ≒ 14.58%
でした。
11ターン目まで粘ると
0.170723589 ≒ 17.07%
でした。
■「まとめ」
先攻の勝率 … 13.77 ~ 16.28%
後攻の勝率 … 14.58 ~ 17.07%
でした。
ちょっと低いように感じられますが、1枚のカードでこれだけの数字を出せるのは《機知の戦い》以外に数枚しか知りません。
また、今回は《機知の戦い》1枚での勝率を計算しましたが、M13にはバベルをサポートするカードが他に数枚登場します。
次回からは、いよいよ実践的なリミテバベルの考察に入ります。
次回 ~リミテバベルのススメ③~「インデックス」
「おまけ」
《機知の戦い》2枚の勝率 … 24.25 ~ 32.00%
《機知の戦い》3枚の勝率 … 33.49 ~ 43.13%
《機知の戦い》4枚の勝率 … 41.65 ~ 52.96%
《機知の戦い》5枚の勝率 … 48.84 ~ 61.14%
《機知の戦い》6枚の勝率 … 55.17 ~ 67.92%
コメント
勢い余ってリンクさせていただきました!
よろしくお願いします